Yasuto
Nakahara
________Chef

水戸サー門

鮭(サケ)というとあまり高級感はないが、サーモンというと一気に高級食材になる。サーモンほどフランス料理において様々な調理法で使われる魚はない。

マリネ・燻製・ポワレ・グリル・ブレゼ・パイ包み焼き・紙包み焼き... 宴会料理にも使え、そこにあるだけで華やかになる。まさに「魚の王様」キング・オブ・フィッシュ なのだ。

だから僕はいつもこの偉大なるサーモンたちに敬意を払い「水戸サーモン」と呼ぶのである。そこでご隠居、続きをお願いします...

それでもやはりサーモンの魅力といえば盛りつけたときのあのピンク色の美しさだろう。加熱後もこの状態を保てるのはサーモンをおいて他にはない。さらにサーモンには独特のねっとりとした粘りがあるのでマリネをおすすめする。生ハムのようなあのねっとり感は魚でいて肉のような食感を得られる希少な食材なのだ。

そして、サーモンマリネに合わせるフルーツはこの時期同じく旬を迎える ラ・フランス(洋梨)。サーモンマリネのねっとりとした食感・塩味が ラ・フランス の高貴な香りと甘味を引きたててくれるのである。もちろん、ラ・フランス もよく熟した香りの強いものを使わねばならない。それでは助さん、格さん、今日はもうこれくらいでいいでしょう...

最後に、この業界では仕事ができないどうしようもない奴を「ポワール」という。「ポワール」は、日本語で洋梨→ようなし→用無し。みなさんも「ポワール」と呼ばれないようかんばりましょう。

サーモンマリネ

サーモンマリネ

サーモンほど大きく、色が美しく、完璧な流線形をした魚はない。冷えても身が固くならず、冷・温どちらでもおいしい。