Yasuto
Nakahara
________Chef

誰が為にシュトレン作る 2

今日はみなさんにお詫びをしなければならないことがあります。今、世間を騒がしている食品偽装問題ですが、実はこのMの月でも誤表示が発覚しました。

そもそも事の発端は、長女がたまたま私のシェフブログをみて、「パパってイケメンなん?」と素で聞いてきました。私は、生まれてこのかた自分がイケメンじゃないって思ったことがなく、まさに「青天の霹靂」状態でした。

そこで、緊急家族会議を開き、全員の意見を聞いたところ今どきのイケメンではないことに落ち着き、ここにお詫びと訂正をしたいと思います。

実は80〜90年代の男前で、平成のイケメンではない、つまりひと昔前の暑苦しいイケメンということで、これからは「イケメンだったシェフ」にしたいと思います。

前置きが長くなりましたが、11月24日めでたくシュトレンが焼き上がりました。フルーツの漬け込みが遅れるなどさまざまなトラブルにもめげず、無事完成。今日から約10日間熟成させることにより、さらにおいしくなるはずです。

そこで「シュトレン2013」完成記念に、前回はアトヴェントの楽しみ方とフルーツの漬け込みについてお話しましたので、今回は後編ということでシュトレンのおいしい食べ方についてうんちくを述べさせていただきます。

シュトレンというのは、焼き上がってすぐはパサパサしていて食べてもおいしくありません、これを最低1週間、できたら10日間ぐらい休ませることにより、しっとりとしたバターケーキのようなコクと香りが出てくるのです。

そして食べ頃になると、それを薄くスライス(5mm〜1cm)して紅茶とともに召し上がる。できたらモーツァルトとブラームスを聴きながら、はるか何千キロと離れたヨーロッパに思いをはせながら至福の時を過ごす。

少し固くなったシュトレンは、甘口のワインかブランデーに浸し、この時は暖炉の前でガウンを着て、足元には黒のラブラドールレトリバー、読む本は「罪と罰」あたりがよろしいかと。くれぐれも恵方巻きみたいにかぶりつかないよう心よりお願いします。

誰が為にシュトレン作る 2

ツリーを立て、ヘキセンハウス(お菓子の家)やパンで作ったリースを飾り、シュトレンのようなX'masのパン(ケーキ)を少しずつ食べながら、やがてくるクリスマスを楽しみに待つ。

何てステキな、豊かな時間の過ごし方をしているのでしょう。こんな生き方、お手本にしたいと思います。