誰がためにシュトレン作る
みなさん、10月に入ったとはいえ、ほんと暑いですねぇ。映画「そして父になる」観ましたか? 同じ子供をもつ父親として共感するものがありました。そこで、続編を作ってみました。題名は「そしてシェフになる!」
ストーリーは、13年間自分の店だと思っていた「Mの月」が、実はいつの間にかマダム名義に変わっており、着の身着のまま追い出されるという悲惨な物語です。一応、カンヌ映画祭に出展予定になっています。
前置きはさておき、ほんと暑いですねぇ、10月でこの暑さとは。しかし、暑い暑いとばかりも言ってられません。着実に慌ただしい年末に向かって時間は動いているのです。
実は私ともあろうものが、うっかりして、ある重大な仕込みを忘れてました。それは12月に入るとよく街のケーキ屋さんで見かけるケーキのようなパンのようなもの、そう「シュトーレン」です。
正確にドイツ語読みすると「シュトレン」。それに使うフルーツの漬け込みを、あんまり暑いんでまだ夏気分でいたもんですっかり忘れてました。なに、まだ間に合うかって? シュトレンをなめてもらっちゃ困ります。
だいたい12月に入ると店頭に並び始め、人々はそれを購入し食べ始めます。しかし、このケーキ(パン)は焼きたてはボソボソしてそんなに美味しくないのです。最低でも一週間、できたら二週間おくとしっかり味が馴染んで美味しくなるのです。
ということは、11月半ばにはもう焼き上がってないといけない計算になります。しかも、問題なのは中に入っているフルーツ、「シュトレンはフルーツの漬け込みがすべて」と言われるぐらい漬け込みが重要で、最低でも焼く1ヶ月前、できたら2ヶ月ぐらいじっくり漬け込むのがベストです。
ということは、11月半ばに焼く2ヶ月前、つまり9月半ば、いや10歩譲っても10月初めには漬け込まないと間に合わない計算になります。で、今日が10月10日、さぁどうする〜シェフ君〜〜〜
P.S. 今年のシュトレンの名称が決定しました!
「100倍返しシュトレン」よろしくネ!
「池上 やすと の最も受けたい授業」
今回、このシュトレンについて、歩く大英博物館と呼ばれるこの私が軽く説明しておきましょう。名付けて「池上 やすと の最も受けたい授業」。
まず、「アドベント」という言葉を聞いたことがありますか? これは X'mas(12月25日)から数えて、その前の4週間の期間のことを「アドベント」といいます。
ヨーロッパの人々は「アドベント」を非常に大切にする習慣があり、この間にツリーを立てたり、リースを飾ったり、そしてこのシュトレンを少しずつ食べ、楽しい X'mas を家族で楽しむのです。
某極東の島国のように X'mas イブ だけ「いちゃいちゃカップル」が盛り上がるというようなことはないのです。
そのアドベントの重要なアイテムのひとつが「シュトレン」なのです。