卒業 〜そして直木賞作家への道〜
先日、長女の小学校の卒業式に出席しました。思いおこせば入学式は嵐でした。ちょうど桜がいい感じで咲いていて校庭で写真を撮ろうと思っていたら、それどころではなくずぶぬれで式の最中ほんと寒かったです。
今回は穏やかな天気で卒業式日和。僕の母校でもあるので楽しみにしていました。しかし、その前に一つ大きな問題が... みなさんもご存知とは思いますが、最近かなり太り気味で十数年前つくったスーツが入らないのではないかという一抹の不安。
いや、それでも大丈夫という何の根拠もない自信でやっと前日になって袖を通すと、ウエストがかなりギリギリ、ギリギリガールズも真っ青ぐらい。なぜあの時アジャスター付きのズボンにしなかったのかと。それでもなんとか無理矢理ズボンをはき、肩もピチピチですがなんとか様になりひと安心。
実は長女は僕と同じでほとんど友達がいないらしいのです。低学年の頃から心配していましたが、彼女曰く「私はパパと違って、いないのではなく作らないだけだ」と、つまりどうやら煩わしいらしいのです。
彼女は無類の本好きで毎週土曜日、朝食を食べるといそいそと自転車で倉敷図書館(通称クラト)にルンルン気分で出かけていきます。最近では図書館のスタッフより図書館のことについて精通しているそうです。
週に一回は図書館から電話があり「ちひろさんが予約した本が入りました」と連絡があります。そんなわけで彼女は本大好き人間で友達と遊ぶよりひとりで本を読んでいる方が楽しいらしいのです。何やら将来は小説家になりたいとか。そこで人生の先輩として、父として彼女に良き助言をすることにしました。それにはまず、二つの選択技があると。
一つ目は、他力本願タイプ。高収入で安定収入のある亭主を見つけ専業主婦をさせてもらうこと。できたら次男か三男あたりで公務員ならベスト。亭主の親は遠方にいて将来ぼける可能性が低い方がよい。さらに男兄弟のみで余計な小姑がいないこと。
このような整った環境で主婦をしながら小説を書きつづけ運良く芥川賞、直木賞でもとればバラ色の人生が待っている。悠々自適な人生が歩め、いつ亭主がリストラされようが浮気されようが関係ない。さっさと見切りを付け実家に帰ってきて、もしその時不幸にも私が リストランテ収穫月 らしきものを続けていれば新しいオーナーになってもらい、お互いに大好きな悠々自適な余生が送れること間違いなしだろう。
二つ目は、自主編。公立高校、国立大学に進学し、私ども夫婦は常日頃から子どもたちには洗脳するような感じで高校は公立、もし大学に行くなら国立の大学に入れと言いつづけている。で、図書館司書の資格を取り、図書館もしくは学校の図書室で働き、その合間に小説を書き、これまた運良く芥川賞か直木賞でもとることができれば、またバラ色の夢の印税生活が待っている。
もし仮に賞がとれなくても本に囲まれて生活がしたいという彼女の夢は叶うし、老後の年金も生涯結婚しなくても心配ない。私的には後者の方をおすすめするが、くれぐれもイケメンだけが取り柄のMの月シェフのようなろくでもない男に引っかからないよう気をつけなければならない。
Mの月のシェフは人間的にはすばらしいのだが、生活能力が全くないのが困ったものだ。ま、すべてが完全という人間はなかなかいないものだが、くれぐれもこれだけは肝に銘じておいてほしい。「小説だけで食える程世間は甘くない」と。
Mの月シェフのようにレストランだけでは食えないので、嫌々?パン販売したり、教室したり、専門学校の講師したりと父も大変なことをわかってほしい。最後に彼女の大きな船出にはなむけの言葉を送ろう。
とりあえず「女は愛嬌だ」と。
P.S. 彼女は今、iPod にはまっている。卒業祝いに iPod を買ったのだが、それが運のつき。朝から晩まで狂ったように何かに取り憑かれたようにしている。そろそろマダムに取り上げられる寸前である。これじゃあ、直木賞は無理のようである。僕も他力本願の老後はあきらめるとしよう。