時代おくれの男になりたい
どうも、ベストファーザース賞10年連続受賞の江口シェフ介です。これでベストジーンズ賞、抱かれたい男賞、合わせて三冠を達成しました。ちなみに妻はベストたらこ唇賞を同時受賞し、日本めんたいこ協会から CM の依頼が殺到しています。
もうすぐ父の日ですが、早いもので僕も父を亡くしてから一年が経とうとしています。そこで今日亡き父を偲び父との思い出話を一つみなさんに紹介しようと思います。
それはもう20年ぐらい前のことですが、丁度マダムとの結婚もほぼ決まりいよいよ両家の両親が顔合わせするとき、そう、僕がマダムのお父さんに「娘さんをください」と決めゼリフを言う、男になる時のことでした。
当時、兄はまだ独身で両親も兄の結婚は諦めていました。特に父はもしここでマダムを逃したら子孫が絶え、家が滅びると思っていたらしく並々ならぬ決意でその場に望んだらしいのです。
そこで食事も一通り終わり、場も和み、いよいよ決めゼリフを僕が言おうとしたその時、何を血迷ったか突然父がマダムの父上の正面にいき「どうか娘さんを必ず幸せにしますからお嫁にください」と真顔で土下座しているではないか。
おいおい、それはオレのセリフだろーが。
さすがにこの予想外の事態に一堂の者たちは放心状態になり、まさに開いた口が塞がらないとはこのことで、しばらく時間が止まってしまいました。そのあとみんなで大笑いし、めでたく事態は収拾しました。
というわけで、シェフは男になれず終いだったのです。そんな父もその後三人のかわいい孫に恵まれ、息子は息子でスネばっかりかじるし、一向にしゃんとしないし、本当に今思うと親孝行らしいことは何一つしなかった。そもそも親孝行ってなんだろうって毎日自問自答している今日このごろです。
亡き父に捧ぐ鎮魂歌
「時代おくれ」河島フランス語
一日一コのプッチンプリンを食べ
ビールはいつも発泡酒
マイクが来たなら のりのりで
キンキキッズメドレーを歌うだけ
マダムに隠れて 高級食材買いまくり
請求書は忘れた頃にそっと出す
自分の失敗は すっとぼけて
平気で人のせいにする
目立たぬように
はしゃがぬように
できないことは無理をせず
人の心を見つめつづける
時代おくれの男になりたい
※くりかえし
器用だけれど 飽きっぽく
純粋だけど すぐうつになる
下品なオヤジギャグを言いながら
一年365日 しらけてる
友だち 誰もいなくて
マダムのあとを追いまわし
あれこれ仕込みがあるけれど
自分のことを 先にする
好きなマダムを愛しつづける
時代おくれのシェフになりたい
※くりかえし