Salon

おはようシェフ君。
さて今回の指令だが、長年、収穫月を愛してくださっているお客様のためにお正月食べられる「おせち料理」のようなものを作ってほしい。君もクリスマスを控えて忙しいと思うが、噂ではまだ X'mas メニューも決まっていないとか... とりあえず頼むぞ。
なお、このミッションで君が疲れ果ててお正月ずっと寝込んでも当局は一切関知しない。それでは成功を祈る。いつものようにこの文章は10秒後に消滅する...

レストランにとって宝物とは?
もちろんお客様、それも長年定期的に足を運んでくれる顧客。料理とお酒、会話を楽しみ心地よい雰囲気と時間を共有できる人達。そんな上質のお客様を「ソワニエ」と呼ぶ。

シェフは、ソワニエの為に世界各地のあらゆる所から素材を集め、気の遠くなるような時間と手間をかけ料理を完成させる。マダムは、料理にマリアージュするワインとチーズをセレクトし、ソワニエの過去のデータをもとにできる限りの上質な空間を演出する。そして、ソワニエはそんなシェフとマダムに敬意を払いもてなされる。

毎年、年末になると「収穫月のおせち」はないですか?とよく問い合わせがある。長年、頑なに断り続けてきた。それは料理というものはただ食べればいいというものではなく、レストランという空間のなかでのライブ感、瞬間的なもの、驚き、感動、熱いものは熱く、冷たいものは冷たく、楽しい会話... といった総合的なものなのだ。

このお客様がどうやって食べるのか、どのくらい食べるのか、どんなスピードで食べるのか、食べた後の表情はどうか、とか。そういったことを最後まで見届け、そして食べ終わった食器を自ら洗って最後までお見送りして完結する。

収穫月 10年間の涙ぐましい努力によって、シェフ・マダム・ソワニエの間に確固たる信頼関係が樹立し、最後までおいしく楽しくきれいに食べていただける確信ができた。

そして、2010年 収穫月 洋風おせちセット が誕生した。
「ソワニエ・アンサンブル」¥15,000(税込)
<12月30-31日 受渡し>

とりあえず、30セット限定。
本心を言うと予約が入って欲しいような、あんまり入って欲しくないような複雑な心境である。珍しくシェフがやる気になった企画なのでよろしくお願いします。

最後に、フランスのことわざに「レストランはイタリア車を愛するように愛せ」とある。いい言葉だと思う。

gift - ソワニエ・アンサンブル
http://www.minorizuki.com/gift/

ソワニエ・アンサンブル

ソワニエ・アンサンブル

お正月の退屈な時間を十分楽しめる、
お酒がすすむオードブルセット10種類(パン込)

とかくこの世は無駄だらけ。むだ、ムダ、無駄の世の中で泣くのは弱い者ばかり。涙を拭いておいでなせぇ。この世にはびこる無駄を一掃する必殺仕分人 シェフ侍 が斬ってしんぜましょう。

さて、今回の依頼は...
シェフ侍様、どうか私の話を聞いてくださいまし。私は倉敷市内で「M の月」というレストランを長年営んでいる者です。今日はこのレストランのシェフ(私の夫でもあるのですが)のことでご相談します。

このシェフはかなりの完璧主義者で何でもきっちりしないと気がすまない性分なのです。自分のことをイチローと思っているらしくイチローの本は全部持ってますし、イチロー語録を壁に貼って自己満足しています。

それだけならいいのですが、私にまで弓子夫人のようになれと言い出す始末。朝は毎日特製カレーだとか、昼は毎日元気もりもりホットドックだとか、とても付き合いきれません。イチローのように何十億も稼いでいるのならともかく稼ぎは悪いわ、高い材料ばっかり買い込むわと店はいつも火の車。

さらに悪いことに病的なぐらいキレイ好きで私がお菓子の仕込みでちょっとでも店を汚すようなら私の後からほうきと雑巾を持ってまわり気が散って仕事に集中できません。今まで約十年間我慢してきましたが、この先まだまだ続くと思うと夜も眠れません。どうかシェフ侍様、このイチローかぶれの面倒くさい完璧主義者のシェフをずたずたに叩き斬ってやって下さい、お願いします。

...それはそれはやっかいなお話でございますなぁ、心から同情します。こんな自分勝手な奴は私自ら成敗したいところですが実はちょっと今回は野暮用で(保育園の親子遠足でして)おいとましやす。その代わりといっちゃぁなんですが、頼もしい助っ人をご用意しやしたのでご安心下さい。それじゃ RENBO(レンボー)姐さん、よろしくお願いしやす。

ここで最強の女仕分人 RENBO について説明しておこう。純白のスーツに身を包み、ショートカット、かなりの美人。いかにも仕事ができるぞというオーラを全身にまとい身のこなしも優雅。噂では元キャンペーンガールでゆくゆくは大臣、そして総理大臣のイスを狙っているという野心家。

彼女の質問にはイエスかノーで答えなければならない。くだらないオヤジギャグでも言おうものなら虫ケラを見るような冷たい視線を浴び、ヘビに睨まれたカエル状態になる。そして、彼女の究極の殺し文句「一番じゃなきゃ、ダメなんですか?」この言葉を聞いた瞬間、志高き完璧主義者たちは地獄に叩き落とされ廃人のように世捨て人になるのである。まさに恐るべし RENBO。彼女が立ち去った後、そこに広がるのは死の荒野...

必殺仕分人「シェフ侍」

このコーナーではみなさまの周りの無駄で理不尽な話をお待ちしております。なお、今回の話は半分ぐらいフィクションで、登場する人物、団体名は架空のものです。
このコーナーに関する苦情・質問等は一切受け付けませんのでよろしくお願いします。

〜次回予告〜
泣く子も黙る、おねぇキャラの仕分人登場。
お楽しみに!

今日、みなさんに心からお詫びをしなければなりません。今まで約半世紀生きてきましたが、僕は「運動会」というものを完全になめていました。

9月23日秋分の日、この日は次女と三女の保育園の運動会でした。夏中ずっと晴天だったのに、なぜかその日だけは朝から大雨。しかも雷は鳴ってるし、どう考えても中止だろうと思っていた。

半信半疑で6時ごろ保育園の前を通るとすさまじい光景を僕は目の当たりにした。雷鳴と豪雨の中びしょぬれになりながら、なんとお父様方が場所取りのために数十人ほど並んでいるではないか。

よほど奥さんが恐いのか?
それとも自主的に並んでいるのか?

まさに命懸けである。何がそこまで彼らを動かすのか、恐るおそる先頭の人に何時から並んでいるのか聞くと「夜中1時からです」という返事がかえってきた。

しかしそんな彼らの努力とはうらはらに無情にも運動会は中止になったのです。この時ばかりは日頃信心深い僕も「神も仏もあったもんなじゃない」とつくづく思いました。

そして翌日、昨日の大雨もウソのように晴れ上がり運動会が始まった。しかし平日なので観客も少なめ。保育園の運動会は親子競技がけっこう多くて今回仕事でこれない人が多いので、僕のようにヒマそうにしている人はその都度かり出されるのである。

最後に僕からのお願いだが、こんなに命懸けで運動会を戦っているお父さんたちがいるということをもっと世の中に知らしめ、父の日をもっと母の日並みにメジャーにし、夕食のときおかずを一品増やし(できたら刺身がいい)、第3のビールではなく本当のビールが飲めるように、声を大にして言いたい。

結論から言うと、仕事をしている方が疲れないし、よっぽどイイ。

運動会は命懸け!?

運動会は命懸け!?

ひとまわり、いやそれ以上、親子ぐらい年の差があるお父さんたちと競技するのは大変で体力ではやはり負けてしまう。

しかし、パン食い競走では今まで培ってきた人生経験をフルに使い、見事ぶっちぎりで一番になったのである。

料理人の仕事の醍醐味の一つに「塊の肉を焼く」という作業がある。ただ焼くといってもフランス料理ではソテー、ポワレ、エチュベ、ブレゼ、ローストとかなり細かく区別されている。それだけ彼らは肉を焼くことに命をかけているのである。

僕の心の師と仰ぐ「マルディグラ」の和知さんは、理想の肉焼きとは「厚さ・熱さ・香り」だそうだ。厚みのある肉を噛みしめるとアツアツのジュースがあふれ、肉の躍動的な旨さと香りが広がる。

そしてもう一つ、肉をローストしたら必ず休ませること。休ませるといっても布団と枕はいらない。肉は焼きたての時は肉汁がまだ安定してなく、すぐ切るとおいしいジュースがすべて流れ出てしまう。

つまり食べた肉は出し殻状態でパサパサ、休ませることにより肉汁が安定し、きれいなロゼ色に仕上がる。そして、上手に焼けた肉の塊をお客様の前で切り分ける瞬間こそが至福の時。

僕は「セーラー服と機関銃」の薬師丸ひろ子になりきる「カ・イ・カ・ン」と。適度にサシの入ったマンガリッツァ豚肩ロースの塊をローストし切り分ける時が来た。

ニクヤキニストの凱旋の時だ。

ニクヤキニストの凱旋

ニクヤキニストの凱旋

スペシャル素材「マンガリッツァ豚」...
ワイン会の準備はめずらしく順調に進んでいるかに見えた。しかし突如シェフ・スカイウォーカーの左目が結膜炎に、暑かった夏の疲れか?年のせいか?

左目が完全に腫れ上がり、KOされたボクサーのように。そうでなくても人相が悪いのに余計悪くなり、子供たちまで恐がる始末。遠近感のとれないシェフ・スカイウォーカーに容赦なく地獄のメドゥーサ軍「ダース・ミカ・ベイダー」が襲いかかる。シェフ・スカイウォーカーをフォースの暗黒面に引き込もうとしているのだ...

もし生まれ変われるものなら来世は高山植物になりたい。涼しい風に吹かれながら、人に踏みつけられることなく、ひっそりと風に揺られていたい。

こんな事をマダムに話すと「高山植物は高山植物で悩みがあるのよ。夏はいいけど冬には雪に埋もれて寒いわよ〜」とやさしく諭してくれた。確かにその通りである。そんなわけで高山植物になるのはやめた。

いつも思うのだがマダムの指摘はいつも説得力がある。多分テレビ番組コメンテーターになれる素質を十分持っていると思う。勝間和代と同格ぐらいだと僕はみている。

前置きが長くなったが、何が言いたかったというと... 今の自分の置かれている状況を素直に受け入れ、そのなかでできうる最大限の努力をする。決してネコになりたいとか鳥になりたいとか貝になりたいとか現実逃避せず、前向きにがんばる。他のものになったらなったで、また悩みや苦労はでてくる。

実は長年飼っていたネコが死んで一年になる。そのネコを見ながら僕はいつもネコになりたいと毎日思っていた。別にこれといった用事もなく一日中だらだらほとんど寝ていた。このネコが、留守中に洗濯物を取り入れてたたんでくれ、掃除して布団を敷いて風呂を入れてくれていたらどれだけいいか、ずっと真剣に考えていた。が、そんな事は一度もなく別に帰ったからといって顔を見せるでもなく、甘える時はエサをもらう時だけ。週に2回でいいから代わってくれたらどれだけ楽かと。

でもネコのいい所は、こんな感じで人間の役に立とうとせず、気に入られようとせず、わがままで自由奔放、人間と常に一定の距離を保ちつづけ、決して一線を超えないこと。

そんなわけで僕はやはり来世はネコになりたい。それも芸能人とか政治家のようにお金持ちの飼いネコになりたい。

天敵 ...ある生物にとって害敵となる生物。例えば、カエルを補食する蛇の場合、蛇はカエルの天敵という。

実は何を隠そう僕にも天敵がいる。マダムではないかと思う人は多いと思うが、マダムは天敵というものを通り越して僕にとっては「神」のような存在なのである。それでは誰か?

かなりの美人、スタイル抜群、背も高くほとんど目線は僕と同じ。モデルと言っても過言ではない。個人的にはフラメンコダンサーが一番似合うと思う。そんな魅力的な人なのに何が怖いかというと「目」。

この人の目力(めぢから)は半端じゃない。目が合うと石にされそうでなるべく目線を合わせないようにしている。そう、ギリシャ神話で出てくる「メドゥーサ」。髪の毛がヘビで目を合わせると石にされるという魔女だ。

そんなわけでなるべく会わないようにしているのだが、どうしても至近距離で目を合わさなければならない時がある。年に数回あるワイン会だ。実は彼女はソムリエで酒屋さんの看板娘なのだ。彼女がセレクトしたワインと僕の料理を楽しむ会。とにかくこの会はワイン、料理云々より彼女のドレスアップされたパーフェクトボディを拝見するだけでも十分価値はあると思う。

話は変わるが、最近僕は「壇 れい」がすごく気に入っている。黒木 瞳に代わる女優は彼女しかいないと思う。だからビールは金麦ばかり飲んでいる。

個人的な意見だがあまり彫りの深い顔はどうも苦手で日本人的彫りの浅い着物が似合う人がいい。実は壇れい似のかわいい人を僕は知っている。ケーキ屋さんの奥さんなのだがひそかにファンクラブを作っていて入会したい人は個人的に僕の方まで問い合わせてください。

真夏の決闘 ワイン会編

真夏の決闘 ワイン会編

いつもたじたじの僕とマダムだが、いつもやられっぱなしではおもしろくないので今回はある作戦を考えた。

コードネームは「メドゥーサの鏡 作戦」。
彼女のその魅力的な目線(ヒートビジョンと呼んでいる)がこちらに放たれた時、用意しておいた手鏡(祖母の形見だが)をかざせばヒートビジョンは彼女に跳ね返り彼女自身が石化するという必殺作戦だ。

おはようシェフ君。
さて今回の任務だが、倉敷市内のレストラン「 M の月」で8月末、何やら謎の会合が行われるという情報を入手した。なにせ謎の多い店なので確かな情報ではない。M の月に潜入し、この会合を白日のもとにさらけ出してほしい。非常に危険なミッションになるとは思うがよろしく頼む。なお、いつものように君がこの暑さで熱中症になろうとも、マダムからプッチンプリン禁止令がでようとも当局は一切関知しない。それでは健闘を祈る。この文章は10秒後に消失する...

収穫月10年の歴史の中で門外不出の極秘の会合がある。オーナーである僕でさえその実態を把握しきれていない。だいたい年4〜5回この会を仕切る頭(かしら)のような人から連絡が入り、この人が人数・予算・メニュー(ほとんどカレー)を決め鉄壁の連絡網を駆使し(ちなみにこの人は携帯電話を持っていないらしい)メンバーに伝達するのだ。つまり、店サイドには主導権はなく連絡がくるのをひたすら待ち続けなければならない。

約10人前後の会合になるのだが一人車一台でやって来るので、駐車場がいっぱいになると思いきや6台分のスペースに見事10台入れるという荒技をやってのけ、しかも10人ぐらいいれば1〜2人は少し遅れてきそうだがいつも時間ぴったりにそろい会が始まる。まさに軍隊なみの統率のとれた集団なのである。

残念ながら公表できるのはここまでで、あとは一切極秘事項となる。

倉敷カリー番長編

倉敷カリー番長編

どこからともなく倉敷カリー番長が登場し、2種類のカリーを作り、ハーフ&ハーフで提供し、みんな辛い辛いと言いながら食べ、おしゃべりに花が咲き、閉会してゆくのである。

倉敷カリー番長は辛いものがあまり得意ではないので、最終的な味見は倉敷カリー女番長、通称「ガラムマサラ ゆか子」がしているらしい。

〜前回までのあらすじ〜
「M の月」のシェフはある暑い夏の夜、金縛りにあい目が覚めた。しかし、何やら女性の霊のようなものが覆いかぶさっているらしく声も出せなく助けも呼べない。絶体絶命の窮地にたたされたシェフは、いかにしてこのピンチを乗り切るのだろうか...

闇夜に光る細い目、あのふてぶてしい顔、そして奴の一声。

「ニャ〜」

その声を放ち、その物体はのそのそと立ち去っていった。そう、正体は猫だったのです。我が家で飼っている猫の「サスケ」が多分あまりにも暑かったので早く起きてクーラーをつけてくれと言いたかったのだろう。

髪の毛のようなものは猫のヒゲで、生あたたかい風は猫の鼻息、歳をとって最近あまり動けないので太って重い。そして周りを見渡すとマダムは口を開けて気持ち良さそうに寝ているし、子供たちは全員ふとんからはみ出て畳の上にころがっていた。

いかがでしたでしょうか?怖かったですねぇ〜。
これが本当の「猫の怨念」→「猫が(胸に)おんねん」なんちゃって... それでは来年お会いしましょう。

人類が進化の最終段階ではない。進化の過程は数万年単位で起きるが、ある時爆発的スピードで進化を遂げる。こうして超能力をもった人類(ミュータント)が出現したのだ... とまぁ、こんな具合に映画「X -メン」は始まっていくのだ。

この映画でいろんな超能力をもったミュータントが登場するが、僕が今一番ほしい超能力は「イーストと会話ができる超能力」である。

つまり、こういう事だ。
夏とか気温が高いのでどうしてもパンの発酵が早い。で、オーブンが詰まってきてよく発酵オーバーになる。こんな時「おい、ちょっとすまんけど10分程休んでおいてくれるか」と頼めば発酵を止めてくれるのである。

こんな超能力があればパン作りにおいて怖いものなし。パンコース上級編では、10日前ぐらいの時間がある時にパン生地を作っておき「今度は10日ほど冬眠しておいてくれ」と頼むと「OK、シェフ。じゃあバカンスにでも行ってくるわ」と勝手に調整してくれるのだ。

こんな事をうれしそうにマダムに言うと「あんたもこの暑さでとうとう頭にきたか!?私やったら予知能力で宝くじ3億円当てて、それでしまいや」。そんなわけで、イーストと会話できる超能力の話は永久に闇に葬られました。予知能力もいいけどサイコキネシス(手を使わずにものを動かす能力)があれば、パチンコやスロットルでぼろもうけできるなぁとひそかに思いつつ...

夏のパン販売もいよいよ大詰め!
ベーグル、フォカッチャ、マフィンの新作続々登場。
お楽しみに!!

こんばんわ「ニュース・ジャポン」の中原(何となく)クリスタルです。今日の特集は「マダム道を極める」と題し、マダムという特殊な職業でがんばる女性にスポットをあてました。

第一回目は倉敷市内のレストラン「 M の月」で約10年間マダムをしている「み・み・みのおゆか」さんをご紹介します。

基本的に性格はおおざっぱ、あまり細かいことは気にせず、やったらやりっぱなし、整理整頓が大の苦手、おしゃべり大好きの典型的なO型、乙女座である。何ごとにも前向きで元気いっぱいのマダムだが、岡山に来た当初はこんなマダムでも少し落ち込んでいた。

その原因が岡山弁である。マダムは関西出身なので当然関西弁なのだが、どうも岡山弁に馴染めなくて「ガーガー」とか「じゃが、じゃが」に過敏反応していた。

しかし、子供達もやはり岡山弁全開なので最近はあきらめたらしく、結構岡山弁も板についてきた。そこでマダムを困らせた岡山弁ベスト5を選んでみた。

5. はよ しねぇ〜
4. ちぃたぁ、せーやー
3. せぇたぁ けぇがえー
2. くちぃた おてぇたー
1. でぇこん てーてーてー

みなさんはおわかりだと思いますが、これはかなり上級編です。「ガーガー」と「じゃが、じゃが」を駆使しつつ日々がんばるマダムに幸あれ。

最後に、岡山にやってきて一番よかったことは桃がたらふく食べられることだそうな。めでたし、めでたし。

「しゅうかくづき」さんですか?という電話がたまにある。「収穫月」と書いて「みのりづき」と読む。よくお客様から名前の由来を聞かれるが、特にこれといったものはない。

私達はいろんな物を作り、収穫して食べる。でもどんなに手間ひまかけても収穫できないこともある。たしかに収穫は楽しいし形として表れる。しかし収穫までの気の遠くなるような時間と作業は作った人でないとわからない。そしてその収穫物を消費し(食べ)てくれる人がいなければ意味がない。一番いいのはみんなが楽しんでくれるということ、おいしいということ、幸せであるということ。

10年という歳月を経て「収穫月」はやっと種をまく時期にきたと思う。この10年間は種をまくための「土づくり」の期間だった。そして「収穫」はまだまだ先、ひょっとしたら収穫できずに終わるかもしれない。

「何かを成し遂げるには人生は短すぎる」だ。

おはよう、シェフ君。
今回の指令だが、巷の噂では「収穫月」が10周年を迎えるらしい。そこでこれまで支えてくれたファンの人達のために何かサプライズをプレゼントしてあげてほしい。大変困難なミッションになるとは思うがよろしく頼む。例によって君がマダムに怒られようと体調を崩そうと当局は一切関知しない。それでは健闘を祈る。なお、この文章は10秒後に消失する...

シェフは肉体的・精神的に限界にきていた。マダムからの容赦ない企画の数々、今日は朝から長女の運動会ビデオ撮影。なんで運動会が春にあるのか?と思いつつも早朝から場所取りに奔走!

ワールドカップ南アフリカ大会、サムライジャパンの岡ちゃん(岡田監督)も心配だし、僕もいっそのことマダムに「進退伺い」を提出したい。こんな砂漠のような心を癒してくれるのは「音楽」、「音楽に乾杯」だ。

こうして収穫月史上初の異ジャンルとのコラボ「プチ・コンサート」が胎動を始めた。果たして本当に音楽的センス "ゼロ" のシェフは、プチ・コンサートを開催することができるのであろうか? 本編に続く...

5月17日、とうとうやって来てしまった。46回目の誕生日、気が付けば 50 の方が近くなっている。そこで今回は、いかに充実した、活力に満ち溢れた50代を過ごせるか?その方法について考えることにする。

20代の頃、50といえば遠い未来のことのように思えたがひしひしと襲ってくる体の衰え、老眼、五十肩、膝関節痛、メタボ、もの忘れ... 数えだしたらきりがない。にんにく卵黄、ローヤルゼリー、プロポリス、黒酢、青汁とありとあらゆるものにすがってみたがどれもいまいち。

他力本願はやめて地道にコツコツが一番、規則正しい生活と適度な運動そしてアルコールを控える。この3点を厳守して日々精進しようと思う。しかし、規則正しい生活は仕事上無理なのでビールを2日に1缶(350ml)週2〜3回家から店まで(約5km)走ってくることにする。

40代は50代をがんばり抜くための充電期間であまりがんばらなくていいと思う。はっきり言って勝負所は70代だと僕は思っている。70代こそ人生のなかで最も輝く瞬間!

そのためには夫婦お互いに迷惑をかけないように元気でいなければならない。つまり健康が一番なのである。

アンジェラ・ユカ 様へ

〜前回までのあらすじ〜
シェフが小学生の頃、家族で潮干狩に出かけた。その日は大漁で潮が満ちてくるのも忘れて一心不乱にアサリを獲り続けた。そして、一家の命運もとうとう尽きたと思った時...

なんとボートが近づいてくるではないか!
まさに「地獄に仏」とはこのこと。こうして欲深き中原家の四人は無事救助されたのである。命からがら岸に辿り着いて母が放った一言「せっかく獲ったアサリが台無しじゃあ」...やはり女は強い。

今だから笑って話せるけど、ほんとあの時の恐怖は鮮明に覚えている。たまに夢も見る。そんな目に遭ったのなら二度と潮干狩に行きたくなくなると思うだろうが潮干狩に行く人をみると血が騒ぎ、つい行ってしまう。

父は認知症で施設に入ってしまったが、ふと思う。僕がもしあの時と同じような状況になったら果たしてあの日の父のように勇敢に家族を守れるのだろうかと。

そんなことを思いながら朝届いたはまぐりをランチに使うため下処理している。この時期のはまぐりは身もふっくら詰まっていてイイ味が出る。はまぐりのダシは上品で僕はとても好きだ。そして子供達がもう少し大きくなったら教えてやろうと思う。おじいちゃんはとても勇敢な人だということを、潮干狩は命がけでするものだと。

いかがでしたでしょうか?
怖かったですねぇ、中原家を襲った悲劇!
この教訓から得たものは「食べられる分だけのアサリを獲ること」「欲張り過ぎはケガのもと」である。最後にシェフが人生二度目の死にかけたエピソードはまた先でお話しましょう。

「潮干狩」この言葉を聞くと血が騒ぐ。
僕の家は高梁川という川の下流付近にあったので、よくこの時期になると家族で潮干狩に出かけた。今と違って昔はアサリがよく獲れた。今回は40年前に僕の家族を襲った悲劇を紹介しよう。

その日はよく晴れた日曜日の午後だった。昼ごはんを食べ家族で潮干狩に行くことにした、両親と兄(6歳上の兄がいる)と僕の4人で。なぜかその日はアサリがよく穫れ一心不乱で穫り続けた。

夕方になり周りの人たちが帰りはじめ、岸の方から誰か叫んでいたが僕たちは夢中で穫り続けた。そして、ふと頭を上げると... なんといつの間にか潮が満ちていて僕たち家族だけが中州に取り残されていたのだ。

潮が満ちるスピードの速いことはやいこと。どんどん中州が小さくなって、あっという間に水が膝までやってきた。この時ばかりは子供心に「こりゃ死ぬわ!」と思った。

その時である。いつも無口で存在感の無い父が、泣き叫ぶ母と兄を両手に持ち、僕を肩車し、岸に向かって歩き出した。その時の父の姿と言葉が今でも忘れられない。

「いいか、みんな。心配ないからワシについてこい!」

かっこいい、カッコよすぎる!
しかし、無情にも岸まで半分ほどを残してもう水は首のところまでやってきていた。果たして中原家の4人の運命はいかに...?(つづく)

今年はよく筍を茹でる。今日で今週3回目。重なるときは重なるものである。この時期になるとあちこちで「筍のたらい回し」が行われる。茹でてある筍をいただくのはありがたいが、生の筍だとちょっと複雑な心境になるのは僕だけではないと思う。それも大量となると... でもやっぱり自分でゆがいたものはおいしい。

皮をむくときの香りも好きだ。僕はちょっと固めに茹でた方がいい。さらに堀りたてだと先のやわらかい部分は刺身にしてもいい。「アク」がほとんどでないから10分ぐらいで茹であがり、あとは余熱で火を通す。やはり大量にゆがいた方がおいしい。僕の祖母はドラム缶に薪をくべて茹がいていた。

ところで、竹かんむりに旬と書いて筍(たけのこ)という。よく「旬のもの」とかいうけど旬ってどれくらいの時間なんだろう? 僕も最近知ったのだが旬は時間を表す単位で「一旬」は約10日間だそうだ。つまり筍ほど「この一旬に賭ける」素材はない。掘るとき、茹でるとき、料理するタイミング、食べられる期間...

僕は筍料理はグリルがいいと思う。できれば炭で焼きたい。焼けるときの香りがたまらない。焼き上がりに塩と上質のオリーブオイルをかける。いわゆる「一旬をいただく」瞬間だ。

桜が散り、地物の筍が出回り、ツバメが宙を舞い、花水木が咲く頃、僕はこの季節の空気の「におい」がたまらなく好きだ。そして僕の嫌い(苦手)な梅雨がやってくる。

秋ですねぇ。アキといえば八代亜紀、八代亜紀といえば舟唄ですねぇ。「肴はあぶったイカがいい」とか「あかりはぼんやりともればいい」とかいろいろあるけど、一つだけどうも腑に落ちない歌詞がある。

それは「女は無口な方がいい」というフレーズで、僕の今までの人生経験の中ではやっぱり「女はしゃべりがいい」のだ。その方がこっちがしゃべらなくて楽だし、おもしろい。

つまり無口でいいのは美人に限っていうことで、美人というのは自らしゃべらなくても周りがちやほやしてくれ、しゃべってくれるのだ。しゃべるという行為は必要にかられているからしゃべるのであって、その必要がなければ人間は無口になるのである。天敵がいない島では鳥たちは飛ばなくなるのと一緒なのだ。

男のロマンの一つに美人の妻を持つということがあるが、そのためには亭主はまめでなければならない。僕の家の近所で美人の奥さんを持った人たちは100%まめである。

朝のゴミ出し、子供会の行事、学校の行事など必ず積極的に参加し、ほんと頭が下がる思いだ。美人でいつづけるためにはゴミ出しなど日常的なことにかまっている暇はなく、エステ・ネイル・エクステ・習い事、セレブなランチとつねに非日常のことで忙しい。そんなわけでうちのようなレストランも多少はその恩恵を受けることになる。

「風が吹けば桶屋がもうかる」と同じ理論だ。残念ながら美人妻を持つことができなかった「M の月」シェフだが、朝のゴミ出しから家事全般、子どもの世話と日々積極的にこなし「しゃべりのマダム」に心から感謝しつつ、もっとセレブなランチがにぎわうことを祈っている今日この頃である。

もし、みなさんが舟唄をカラオケで歌う機会があれば、ぜひ「女はしゃべりがいい」「亭主はまめな方がいい」を熱唱してほしい。

マダムは無類のうどん好きである。週4日は多分うどんを食べている。夕食の時、みそ汁の代わりに小うどんがよくでる。そんなわけでよくうどん屋さんにも食べに行くのだが、最近マダムお気に入りのうどん屋さんがある。今日はその店の「大将」についてお話しましょう。

その店は、この大将(以下、おっちゃん)とその息子さんできりもりしている。昼の忙しい時間帯はパートのおばちゃんがいる。もうほとんどおっちゃんはうどん作りを息子に任せていていつもふらふらしている。僕の見る限りではおっちゃんが働いている姿を見たことがない。

しかし、おっちゃんがうどんを打つときが唯一ある。夕方4時前後、ひまな時間帯なので息子が休憩に行ったとき店はおっちゃん一人になる。で、僕とマダムがランチの片付けを終えていくと、だいたいこの時間帯になるのである。

実はこのおっちゃんの打つうどんは天下一品なのである。息子さんのもおいしいけどやっぱりおっちゃんのは一味違う。太さ・つや・こし、どれをとっても完璧、まさに芸術。しかもこの時間帯はあらかじめ茹でおきしてないので、オーダーが入ったら一から打ちはじめ作るので最高。ただ問題なのは、時間がかなりかかること。

このおっちゃん、急ごうという気はさらさらない。それでもおいしいうどんをおでんを食べながらゆっくり待つのもいい。僕は夏はざる、冬は釜揚げを食べる。おいしいうどんはシンプルにかぎる。

もう一つ、おっちゃんのにぎるおにぎりも最高。にぎり加減が強すぎず・弱すぎず・塩かげん、どれをとっても僕の思い描く理想のおにぎりだ。しかし、2回に1回はオーダーを忘れていてもってきてくれない。もしできることなら、僕は自分の店をすぐにでも辞め、このおっちゃんに弟子入りしたいと思っている程だ。思うに多分、おっちゃんは昔は伝説のうどん職人でこの業界ではかなり有名。しかし今はそんな名誉や名声を捨て、息子と二人でひっそり余生を過ごしているのだ。

実は、このおっちゃんが無茶苦茶働いている姿を一回だけ見たことがある。たまたま昼の忙しい時でいつものパートのおばちゃんが休みで、その時だけ多分おっちゃんの奥さんがヘルプに入っていたのだと思う。あんなに積極的にきびきび自主的に働いているおっちゃんを見たのは、あの時が最初で最後だ。どんな伝説の男でもやはり奥さんは怖いのである。

最後に、プロフェッショナルとは...
一つの道を極め、老後はのんびりと暮らしたいが、それを許されない恐妻家のことである。

もし僕がこの店を辞めたらやってみたいことが3つある。今日はそのうちの1つを紹介しよう。

名付けて「失恋レストラン」。レストランといっても昔なつかしい喫茶店のようなもので、まずマスター(これは僕だが)はいつも赤と黒のチェックのベストを着ていて口髭をはやし髪の毛はボサボサ、いつ行っても寝起きで不機嫌、やる気全然なし、いつ店が開いているのか誰も知らない。(これは今の店でも同じだが...)

別にコーヒーにこだわることもなく、ただスパゲッティナポリタンだけはこだわっていておいしい。しかしオーダーが入るとあからさまにめんどくさそうに作る。BGM はもちろん清水健太郎の「失恋レストラン」がエンドレスで流れている。

制限が多い店で幸せそうなカップルは出入り禁止、主に失恋をしたばかりの女性一人(男性でもいいが)を顧客とする。カウンターでこんな淋しいお客さんに恋愛経験豊富なマスターがよきアドバイスをし、人生について語り合うというものだ。

雑誌、コミック類は充実していて別に何時間いても誰も何も言わない。特に「ゴルゴ13」と「北斗の拳」は全巻揃えたい。

このマスターの私生活は全く謎で多分バツイチ、若い頃は少し名の売れたイケメンイタリアンシェフだったのだが傲慢経営がたたり、おまけに女遊びバクチと借金がかさみ、家族には逃げられ借金取りからのがれるようにひっそりと暮らしている。

いかがでしょうか?
こんな理想郷のような店があったらどんなにうれしいか。最近、ファミリー中心の店とかオシャレな店が多いなか、こんな薄暗くてじめじめしててマニアックな店があってもいいのではないしょうか。

僕のように友達もなく社会的に抑圧されている人間が、癒され落ち着ける店をもっと増やしてほしいと心から願う今日この頃です。

こだわりのスパゲッティナポリタン

こだわりのスパゲッティナポリタン

ちなみに僕の理想とするスパゲッティナポリタンは、具材は安っぽいソーセージ、缶詰のマッシュルーム、ピーマン、玉ねぎ、ケチャップたっぷりで食べ終わったあと唇が油とケチャップだらけ。

鉄板にのって出てきて、上には半熟の目玉焼き。これにライスがつくのである。

マダムは無類の豚好きである。僕はよくメニューが決まらない時、いつもマダムに何が食べたいか聞く。すると必ず「豚」が食べたいと言う。もち豚、アグー豚、白金豚、イベリコ豚、美星黒豚... いろいろ使ってきた。もう使う豚がないのだ。

考えるのが嫌になると僕は必ず掃除を始める。今回は本棚を整理しようと思い、雑誌の山を片付けているとある記事が目についた。

「ついに日本上陸、ハンガリーの国宝、マンガリッツァ」何という偶然、「溺れる者はわらをもすがる」と言うがこれは「困ったシェフは豚にすがる」である。そんなわけで、今回秋のワイン会夜の部(お一人様 8,000円税込)のスペシャル素材はマンガリッツァ豚に決定した。

スペインのイベリコ豚と同じルーツを持つこの豚は、現在ハンガリーにしかいない。一時は絶滅寸前でハンガリーの特権階級の人でしか口にできない貴重な豚であった。そんな状況をなんとか打破しようとハンガリー政府はマンガリッツァを国家遺産に認定、少しずつ生産数を増やすことに成功し国内外の高級レストランでグルメな人たちの舌を唸らせている。

「ウーリーピッグ(毛で覆われた豚)」という異名をもつマンガリッツァは、牧草地や森林で放牧されカボチャやドングリなど自然の餌だけ食べ、ストレスを感じることなくのびのび飼育されている。冬にはマイナス30度にもなるという厳しい環境にさらされるため体内には良質の脂肪分を多く蓄えている。つまり、マンガリッツァ最大の特徴は神戸牛を彷彿させる霜降りの多さ、脂肪分が多い肉質だが融点が他の豚肉より低いため口の中でトロリととけ胃にもたれないのだ。

僕は常々豚の旨味は脂だと思っているし、ひょっとしてマダム業界の「岸 朝子」と呼ばれているうちのマダムの口も唸らせてくれるかもしれない。もちろん使う部位は肩ロース、厚めにスライスし、きつめにグリルしたい。

そして、こんな繊細で力強い豚に「酒工房あおえ」のミカさんがどんなワインをセレクトしてくれるか楽しみだ。いつも僕のわがままにつき合ってくれ、素晴らしいワインをセレクトしてくれるミカさんに感謝し、最後にマダムセレクトのチーズにも期待しエピソード2は終わっておこう。

次回はいよいよ三部作、ついに完結。お楽しみに!

メドゥーサの逆襲

メドゥーサの逆襲

遠い昔、銀河系のはるか彼方で...

圧倒的な力で高飛車に攻めてくるメドゥーサ軍に防戦一方の「 M の月」シェフ率いる反乱軍は、メドゥーサの鏡作戦を考案し、事態は好転したかに思えた。
しかし、こともあろうかマダムがシェフを裏切り(愛想を尽かし)メドゥーサ軍に寝返ってしまったのである。またもや窮地に立たされたシェフは...

<9月26日(日)秋のワイン会>
昼の部|11:30 〜 13:00
お一人様 3,000円(税込)
立食形式、オードブル、ジゴ(骨付き仔羊もも肉)ロースト

夜の部|17:30 〜 20:30
お一人様 8,000円(税込)
着席、マンガリッツァ豚を使ったコース料理

とかくこの世は無駄だらけ。むだ、ムダ、無駄の世の中で泣くのは弱い者ばかり。涙を拭いておいでなせぇ。この世にはびこる無駄を一掃する必殺仕分人 シェフ侍 が斬ってしんぜましょう。

実は今回、ちょっと子供の夏休み宿題の手伝いでおいら手が離せないんで、一番弟子の「パスタ職人のヤス」に代役を頼むことにしたぜ。それじゃあヤス、頼んだぜ。わかりやした親分。安心して子供の宿題見てやってくだせぇ。

さっそく今回の依頼、紹介しやす...
シェフ侍様、どうか僕の話を聞いてください。僕は倉敷市内で「M の月」というレストランを営んでいる者です。今日はマダム(僕の妻でもある)の事でお願いにあがりました。

とにかくこのマダムは、やる気マンマンでお客さんを入れすぎます。二人でやっているのでそんなに入れてもできないといつも言っているのですが言う事を聞きません。おまけに根っからのイベント好きで次から次へと何やらの会を考え出し、やらされます。

さらにパティシエでもあるのでデザートを作ってもらっているのですが、やったらやりっぱなし、片付けず散らかし放題なのです。とりあえず、ひたすらマイペース、最近少し太ってきましたし。あ、これは秘密にしておいてください。

もう限界です、シェフ侍。どうかこの「いけいけドンドン」のマダムをたたき斬ってやってください。あ、でもかわいい所もあるんで軽くお尻ペンペンぐらいでお願いします。

...それはそれは大変なお話でございますなぁ。しかし成敗するのはマダムさんじゃなくて、シェフさんおまえさんの方だぜ。いいかい、よく考えてみなせぇ。今の世の中、こんなに身を片栗粉にして働いてくれる奥さんがどこにいるよ。この人はこの世のすべての女性の鏡だぜ。おめぇさんも少しはこのマダムさんの爪の垢でも煎じて飲んでみやがれ。

聞くところによると、仕事もそっちのけで何やらくだらないブログばっかり書いてるそうじゃねえか。そんなやっちくそもねぇ(岡山弁で くだらない の意)ブログなんか書いてねぇで少しはマダムさんを見習って仕事に精進しな。

それじゃあ、今回特別においらの必殺技で成敗してくれら〜。いくぜ、必殺「いかすみパスタ地獄落とし」...説明しよう、このパスタ職人ヤスが繰り出した技はヤスの得意とするいかすみを練り込んだパスタで相手をぐるぐる巻きにし、それを逆さまにして頭からたたき落とす、という一撃必殺の大技である。世界広しといえどもこの技ができるのはヤスだけである。

完璧に決まったぜ。それじゃあ、帰るとするか。余ったパスタで今日はカルボナーラでも食べるとするか。

必殺仕分人「シェフ侍」

このコーナーではみなさまの周りの無駄で理不尽な話をお待ちしております。なお、今回の話は半分ぐらいフィクションで、登場する人物、団体名は架空のものです。

このコーナーに関する苦情・質問等は一切受け付けませんのでよろしくお願いします。

〜次回予告〜
女必殺仕分人、登場。
はたして彼女の必殺技は... 乞うご期待!

「いつまでもあると思うな、親と金」
口癖だった父が先日旅立った。享年79歳、ちょうど日本人男性の平均寿命だ。「収穫月シェフは二度死ぬ」で登場したあの勇敢な父である。

今にして思えば親孝行らしいことは何一つしていなかった。どちらかと言うと親不孝者で中学校以降は常に反発し、口もあまりきいていない。父はたぶん公務員のような堅い職業についてもらいたかったと思うが、まったく逆の料理人という一寸先は闇の修羅道を歩んでいる。

そんな放蕩息子でも父は僕を一度も見捨てることなく、説教らしいことを言うでもなく怒るでもなく、ただ見守り続けてくれた。「収穫月」をオープンする時も反対だったと思うが、資金を貸してくれ一年ぐらいは毎朝店周りを掃除しに来てくれた。

こんな父に感謝の一言もいわず、ただ甘えていた。危篤になって1ヶ月ぐらいがんばったが、たぶん僕に何か言いたかったのだろう。「おい、貸した金早く返せ」とこんな思いを抱きつつ収穫月10周年を見届けて旅立った。

最後に、父の座右の銘でもある...

「何があっても保証人だけにはなるな!」

を心に刻みつつ精進しようと思う。今まで父のことを心配し、またご迷惑をおかけした皆様にお礼とお詫びを申し上げます。

リストランテ収穫月
シェフ 中原康人

こんばんわ、稲川ジェイソン貞子です。
まだ暑い日が続きますが、みなさんお元気ですか。今日は「M の月」のシェフが体験した血の凍るような怖い話をご紹介します。少しでもみなさんが涼しげな気分になれば幸いです。

そう、あれは夏も終わりかけのまだ暑い夜、僕はなかなか寝つけずにいました。少しウトウトとし眠りかけた頃、たぶん明け方だっと思いますが妙に胸の辺りを圧迫されるような感覚で目が覚めました。

しかし体が動かず、これはひょっとして金縛り!?どうしても体を動かせず声を出そうにも声も出ず、どうみても何者かが体の上に覆いかぶさっているような感覚。怖くて目も開けれません。

しばらくすると何やら髪の毛のようものが顔に触れるではないですか!そして生あたたかい吐息のような風が伝わってきます。これはもう間違いない、たぶん女性の霊が僕の体の上に覆いかぶさっているにちがいない。

しばらくその状態が続きましたが、もう思い切って目を開けるしかないと覚悟を決めました。そして目を見開いた瞬間、シェフが目にした驚愕の光景とは...?(つづく)

今まで秘密にしていましたが実は、僕は「AKB46」だったのです。

A - 甘いもの好きで
K - 傷つきやすい
B - ビールをこよなく愛す
...46歳なのです。

夏に僕が好きな甘味といえば「わらびもち」。大阪にいた頃よく行っていた甘味処で「わらびクリーム」というメニューがあった。きな粉たっぷりのわらびもちの上に、なんとソフトクリームがのっているのだ。

死ぬ前に何が食べたいといったらこれ以外には考えられない。12日間連続食べに行ったという前人未踏の大記録を創り上げ、今だ破られていないそうだ。

そして見た目は結構「いかつい」が実は傷つきやすい性格で、人はよく僕のことを「ガラスのシェフ」と呼ぶ。マダムのいつもの無神経で鋭いツッコミに深く傷ついているシェフなのです。合い言葉は「ガラスのシェフを救え!」。

最後にビール。風呂上がりによく冷やして飲むのだが、この最初の一口がたまらない。実は数年前、結石を患いビールをやめた時期があった。尿酸値が高く、プリン体が多いとのこと。やっぱりプッチンプリンの食べ過ぎかと思ったが、そのプリンではない。でも、やっぱりビールはやめられなくて量を少なくしている。

ビールを飲む理由の一つに、僕にとってのビールは「リセットボタン」なのである。どうしても後にひきずりやすい性格なので、今日一日嫌なことがあってもビールを一気に飲んでスパッと寝れば、次の日の朝には何もかも忘れ新しい自分になっている。そしてまた一からがんばる、そう「朝はいつも新しい」だ。ま、現実にはなかなかうまくいかないけど、それが人間らしくていいのかも。

最後にマダムは「SKO4?」である。
S - しゃべり好きの
K - 恋多き
O - 乙女(おばさんでもいい)
...年齢不詳。

最近、どうしても欲しいアイテムが一つある。漫画「ドラゴンボール」の中でカメ仙人が持っている仙豆(せんず)である。

悟空がどんなにボコボコにやられてもこれを一粒食べれば元気100倍になるというもので、これがあればパン販売で僕の疲れがピークに達したとき仙豆を食べると乗り切れるのだ。こんなことをマダムに話すと仙豆はないけど私の「愛のビンタ」はいつでもあるわよ〜とにんまりしていた。

毎年夏(7・8・9月)はパン販売をお休みしていた。暑い時はみんなパンは食べたくないだろうと自分勝手に思い込んでいたのだがこれが大きな間違いだと気づき、暑くてもパンを食べたい人は大勢いる。僕が作りたくないので、そう自分に言い聞かせてきた。そんなわけで収穫月のパンを愛する多くの人のために暑くてもパンを焼くことにした。

しかし、真夏のパン販売を乗り切るためには仙豆のような特別なアイテムが必要だ。そこで今回は元気が出そうなアニメ主題歌をセレクトし、ピンチの時に流し窮地を乗り切る作戦でいくことにした。もしパンを取りに来られたとき工房の方からこんな曲がガンガン流れていてもお許しください。

夏のパン販売は、ベーグルとマフィンが新たに登場!
お楽しみに!!

仙豆のごとく元気100倍!?

仙豆のごとく元気100倍!?

近所の TSUTAYA に行き、CD5枚を借りて「シェフの元気が出るマイフェイバリットソング ベストテン(アニメソング編)」を作ってみた。

01. 北斗の拳(愛をとりもどせ)
02. ドラゴンボール
03. 機動戦士ガンダム(ファースト)
04. タイガーマスク
05. あしたのジョー
06. デビルマン
07. グレートマジンガー
08. ゲッターロボ
09. キューティーハニー
10. キャンディキャンディ

こんな感じで8月のパン販売はがんばろうと思う。

とかくこの世は無駄ばかり、むだムダ無駄の世の中で泣くのは弱い人ばかり。涙を拭いておいでなせぇ、世にはびこる無駄を仕分ける必殺仕分人「シェフ侍」が斬ってしんぜましょう。

さて今回の依頼は...
シェフ侍様、どうか私の話を聞いて下さいまし。私は倉敷市内でレストラン「 M の月」を営んでいるマダム Y です。今回はこの M の月のシェフのことでご相談します。

このシェフ(私の夫でもあるのですが)とにかくリッチ好きで、私の目を盗んでは高級食材を仕入れ、最高の設備、高価なお皿を買ってきます。しかも無類の甘いもの好きで、この前は朝・昼・晩と "おはぎ" を嬉しそうに食べてました。そんなわけでお腹はメタボ一直線、ビールをやめるやめると言いながら毎日飲んだくれています。

これだけならいいのですが、自分のことを「イケメンシェフ」だと思っているらしく「オレは福山雅治だ」とか言い出す始末。仕事もできる男だと思っているらしく「俺はイチローだ」とか子供たちに言ってます。その割にはすぐ行き詰まるし、そうなったら私に丸投げで本当に無計画、プライベートも無計画でいつの間にか子供も3人できました。

おかげで家計は火の車!もう限界です。どうかシェフ侍様、この無責任で傲慢なシェフを叩き斬ってください。でも根はいい人なので軽くお仕置きしてください、お願いします。

...なるほど、それはそれは無茶苦茶なお話ですな。
それでは拙者が、この自称イケメンシェフを叩き斬ってあげましょう。おぅおう、この自分ではイケメンでできる男だと思っているシェフさんよぉ、あんたのお陰でどれだけ周りの人が迷惑してるのかわかっているのかい。確かに高級な食材や高価な器は大事だけどよぉ、一番大事なのは心を込めてつくるってことよ、つまり「もてなしの心」よ。

まだまだおめぇさんも若いな、聞くところによると店も10周年になるそうじゃあねぇか。これを機に心を入れ直して日々精進しな、それじゃあちょっくら斬らしてもらわぁ、成敗! またつまらねぇモノを斬ってしまったぜ。それじゃあ帰るとするか。

必殺仕分人「シェフ侍」

このコーナーではみなさまの周りの無駄で理不尽な話をお待ちしております。なお、今回の話は半分ぐらいフィクションで、登場する人物、団体名は架空のものです。

このコーナーに関する苦情・質問等は一切受け付けませんのでよろしくお願いします。

最後に一句...
「仕分人 マダムに比べりゃ まだ甘い」
(サラリーマン川柳より)

地物のえんどうが出回りはじめると僕は祖母のことを思い出す。今回はこの伝説の「しゃんこらばあちゃん」のことをお話しましょう。

両親共に働いていたので僕は祖母(父方)に育てられた。祖母は早くして夫に先立たれ、父と母ひとり子ひとりで戦後の厳しい時期を生き抜いた人だ。何でも自分で作れるしとりあえず厳しい、特にお金に!

家の前の畑で家族で食べる野菜はほとんど作っていた。そして、この時期えんどうが収穫されると小学校から帰った僕はひたすらえんどうのスジひきをやらされた。こっそり逃げ出して遊びに行こうとするとものすごい形相で走って追いかけてくる。(当時たぶん70歳ぐらいだったと思う)

祖母の教育方針は「勉強はできなくていいから手伝いだけはしっかりしろ」というものだった。もちろんお小遣いなどもらったこともない。豆ごはん、きぬさやの卵とじ、空豆の煮付け... こんな夕食が毎日続くのである。当時は祖母を恨んでいたが、今思えば最高のごちそうだったのかもしれない。

ここで不思議に思うことがひとつあるのですが、こんなに厳しい祖母に育てられたのにシェフはなぜ自分に甘く優柔不断な性格の人になったのでしょう? それが世の中うまくいかないもので「親が立派なら子はイマイチ!」とよくありがちな傾向です。まっ、子供は反発するものなのです。

僕の「ぼっけぇばあちゃん」の星の数ほどあるエピソードのひとつを紹介しました。それでは今回はこのへんで「ジ・エンドまめ」。

倉敷のぼっけぇばあちゃん(エブリディが豆料理!)

えんどうのスジをひく時、シワだらけでカサカサの祖母の手を思い出す。やっぱり地物のえんどうは甘くて香りがいい。豆ごはんが炊けた時、あのふたを開けた時の香りがたまらない。

毎月この日がやって来なければいいと思う日がある。
収穫月最大の荒行「パン販売の日」である。

約7種類のパンのギフトセットを20〜30セット、僕ひとりでひたすら作り続ける。夜中の0時から翌日の夕方6時まで飲まず食わず、ほとんど徹夜で働きっぱなし。無事終了した時は「あしたのジョー」のラストシーンのように部屋の片隅に座りこんで真っ白に燃え尽きている。人々はここを「虎の穴」と呼んでいるらしい。

そんなに嫌ならやめてしまえばいいじゃないかと思うけど、せっかく予約してくれた人の顔を見るとまた翌日にはやりたくなる。この心境はたぶん一人目の子供を産んだ時「もうお産は嫌だ」という女性が一年経つと二人目が欲しくなるのと同じだと思う。ちなみに僕の妻(マダム)は三人の子供を出産した。つまり、パンは僕にとってかわいい子供なのである。

来月の「パンGIFT」は、6月2日(水)です。収穫月10年目の特別月になります。

「パンGIFT」それは収穫月最大の荒行...

「パンGIFT」それは収穫月最大の荒行...

来月は、収穫月10周年のスペシャルな6月。さらなる荒行で、なにか "おまけ" があるかも? お楽しみに...

「新ごぼう」この素材に初めて出会ったのはもう8年ぐらい前になる。5月半ばのランチタイムが終わりかけた時、一台のトラックが勢いよく入ってきた。車の中からひとりのちょっと怪しげなおじさん(年の頃は60歳前後)が出てきた。僕が用心してから近づいていくと「新ごぼう、使わんかね?」と。これが僕と新ごぼうとそれを作るおじさん(ごぼうのおっちゃんと呼んでいる)との出会いだった。

これまでは新ごぼうというものがあるのは知っていたがあまり興味がなかった。このごぼうのおっちゃんの熱心さに押されて20本ほど買ってしまった。買ったはいいが何に使うのか?量も多いし... でとりあえずスープにすることにした。大量の野菜を使い切るにはスープにするのが一番。でもごぼうはアクがあるので色が悪くなるかも?そう半信半疑でつくってみるとなんと上品な香りと味。堀りたてで新鮮なので色も真っ白。他になにもしなくてもオイシイ。まさに衝撃的な瞬間だった。

それ以来、毎年この時期になると「新ごぼうスープ」をつくることにした。個人的には冷たくして飲むことをおすすめする。やっぱり香りが命だから。ただ問題なのはこのおじさんがいつ来るかわからないことだ。だがある時気付いた、必ず雨の日の翌日に突然やって来ることを。なぜかって?それは雨が降れば土がやわらかくなりごぼうが抜きやすくなるから。

ちなみにこの地区は昔、高梁川の川底だったそうでそれがごぼうの生育にいいそうだ。雨が降った日の翌日の軽トラックには気を付けた方がいい。

あちこちでツバメたちが巣づくりをはじめている。ちょうど店の前のビルの入口で毎年巣づくりする。今年もちゃんとやって来て壊れた巣を作り直している。4月は営業的にひまなのでツバメたちの働く姿を感心しながら「ボー」っと外を見ている。

最近子どもたちの虐待のニュースをよく目にする。3人の子どもを持つ親として心が痛む。そして、あるとき思った。僕たちも「ツバメたちの子育て」をもっと見習った方がいいのではなかろうか。雨の日も風の日も一時も休むことなく雛たちのためにエサを運んでくる。そのひたむきな姿にいつも頭が下がる。

最初、子どもが産まれた時は無事産まれてくれただけで、笑っただけで、立っただけで、みんな喜び褒めてくれた。大きくなるに連れてどんどんハードルが高くなりもっと手伝いを、もっといい成績を、もっといい大人にといつの間にか褒められることはなくなり怒られることばかり。ツバメたちは空の上から僕たちにこう言っているように思える。

「オイ、君たちはちゃんと子育てしているかい?」

ひょっとしたらツバメたちはこのことを僕に言うために毎年やって来ているのかもしれない。

「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩である」

1969年7月21日 アームストロング船長が月面に降り立った時の言葉だ。今まさにこの思いが僕の頭の中をかけめぐっている。「収穫月」オープン10年目にしてやっとホームページができた。「収穫月」にとってとても大きな一歩である。

アポロ11号は日本人から十五夜の夢を奪ったが、僕たち(僕とマダムしかいないが...)は今まで支援してくれた ”ファン” を失望させてはならない。シェフとマダムの「終わりなき旅」が始まった。
(ミスチルの「終わりなき旅」をかけて下さい)

Yukako Nakahara
_Patissier
なかはらゆかこ
パティシエ
Yukako Nakahara _Patissier